開院して二年が経ちました。開院時は出生前だけで始めましたが、それだけでは生活が出来ず夏から婦人科を始めました。コロナがあったり、いろいろありましたが無事二周年を迎えました。出生前検査は二年間で1300件となりました。絨毛検査は16件、羊水検査は28件、NIPTは1000件ほどでした。基本的に当院では最初に超音波で胎児を見て、その結果で追加の検査が必要かどうかお話させていただきます。結果としてNIPTを勧めることは少ないです。初期超音波で分かることは、脳の構造異常や、心臓、内臓、腎臓、骨や臍帯、NTや指の異常など様々です。どの異常がある時にどの検査が必要か、NIPTでいいのか、絨毛・羊水検査か遺伝子検査なのか、それを選ぶのは胎児の病気を網羅的に知っていないとほぼ無理だと思います。NIPTだけをするというのは病気を考える必要がないのでこちらとしては楽ですが、さすがにそれをすることは今後もないと思います。
久しぶりのブログ更新になります。開院してあっという間に半年が経ちました。婦人科を始めたり、コロナワクチンを受託したり色々ありました。最近は出生前検査についての認知度が世の中的に高まってきていると感じています。NIPTクリニックで染色体異常を指摘されて、当院で羊水検査をすることも多くなってきました。当院を知っていただきありがたい限りです。様々な遺伝相談にも対応しております。
研修医の時に一緒に働いていて、その後も胎児治療や胎児診断と同じ道に進んだ林先生が幕張に出生前検査のクリニックを開院しましたURL:https://tokyobay.taiji.clinic/
林先生、一緒に頑張っていきましょう。
当院の方針:妊娠11週から13週に来ていただき、妊娠初期精密超音波と希望があればNIPTをさせていただいております。この週数ですが、11週の前半だと予定日の誤差により胎児が小さすぎることがあるため、11週の後半から12週で予約をさせていただいております。NIPTで胎児の染色体異常が疑われた場合、当院にて羊水検査をします(無料)。もし染色体異常が確定した場合にはご夫婦をお呼びし、その後の方針を話し合います。超音波からある程度、出生後のNICUでの治療方法やおおよその退院の目安をお話しし、福祉やサポート体制についてお話しております。中絶を選択される場合は、当院提携の病院を紹介いたします。中絶をされる方は、その後も後悔や罪悪感を持つ方がいらっしゃいます。中絶先の病院で医療者による何気ない一言がずっと忘れられない、新聞などで「安易な中絶」と書かれていて責められているみたい、など様々です。私が担当した患者さんにはそのような気持ちをなるだけ少なく出来るように、最後まで担当させていただきます。
よく患者さんに聞かれるのは、NIPTの種類がいっぱいあってどれを受ければいいのか分からないとの相談です。今一般には、全染色体検査、13.18.21染色体+性染色体+微小欠失(7項目)、13.18.21染色体+性染色体、13.18.21染色体などの項目をどの検査会社も受注しています。当院では、初期超音波検査と一緒にNIPTをするため、全染色体検査を項目に入れておりません。初期超音波検査で流産になるかどうかは一目で分かります。その場合、追加検査はしないか、なぜ流産になったか原因を追究するかの二択になります。仮に超音波をせずに、全染色体検査のみを受けて、16トリソミー(流産の大きな原因のトリソミーです)陽性であった場合、その後に行った通常の妊婦検診で流産していることがほとんどです。13.18.21+性染色体以外のトリソミーはほぼ流産になります。当院では初期超音波検査で13.18.21+性染色体以外のトリソミーの可能性を否定し、さらに13.18.21トリソミー+性染色体異常+微小欠失症候群の可能性を十分に低くした上でNIPTを受けていただきます。それが最も費用を抑えて効果のある検査だと考えます
写真を撮り忘れてしまいましたが、昨日亀田IVFクリニックで出生前検査の勉強会をさせていただきました。不妊クリニックでも出生前検査の質問を受けることが多いとのことで、普段どのように出生前検査について患者様に説明しているかをシミュレーションさせていただきました。出生前検査の意義について少しづつ広めていこうと思います。
出生前検査でよく聞かれることは、超音波で何が分かりますかということです。NIPTは決まった染色体の異常が分かるので、理解しやすいのですが、超音波は漠然とした印象を持っていると思います。 例えば妊娠初期の超音波で13.18トリソミーやDigeroge症候群は心臓や手の拘縮、脳や顔の構造などでおおよそ見当がつきます。またTurner症候群はNTが著明なことが多く、推測することができます。それ以外にも心臓の病気の9割は妊娠初期に見つけることができるといわれており、様々な遺伝性の疾患も診断することができます。NIPTや中期超音波は、妊娠初期超音波の見逃しや、不安を軽減するための検査になります。 超音波で病気を見つけられれば、胎児期の間に病気の説明や治療方法、経過など伝えることが出来、適切な場所で分娩し、直ぐに新生児治療ができます。助かる病気を持った赤ちゃんを確実に助け、しかも神経の後遺症を残さないためには、超音波による出生前検査は必須だと考えています。